文部科学省 地域イノベーション戦略支援プログラム 富山・石川地域
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ほくりく健康創造クラスター
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研究開発
アミノ酸メタボロミクスのための酵素チップの開発と診断・予防への応用
研究代表 富山県立大学工学部生物工学科 教授 淺野泰久
U R L http://www.pu-toyama.ac.jp/BR/asano/
参画機関 富山県立大学・生物工学研究センターおよび工学部・生物工学科、富山大学工学部、株式会社インテックシステム研究所、味の素株式会社、株式会社リッチェル
研究概要
   近年、メタボロミクスの隆盛により、血液中アミノ酸のバイオマーカーとしての利用が注目されている。我々は、血中アミノ酸による疾病検出をより安価且つ簡易的に行うため、酵素を用い た定量法の開発を進めている。まず、新規アミノ酸代謝酵素のスクリーニングや、タンパク質工学による改変により、特定のアミノ酸を特異的に定量できる酵素の開発を行っている。さらに、 これらの酵素を用いたアミノ酸定量法の開発を行っている。 具体的には、酸化酵素、脱水素酵素を中心とした高基質選択性アミノ酸定量用酵素の開発、同一原理によるタンパク質構成アミノ酸20種の定量法の開発、酵素チップによる電極型酵素センサの開発を進めている。  これらの成果は、それぞれ、アミノ酸代謝異常の診断をはじめ単一のアミノ酸定量法として事業化する事も可能だが、味の素株式会社により、開発がすすめられている「アミノインデックス®」 に応用する事により、さらに多様な疾病の診断に用いることが可能となる。
研究成果

我々は、以前の研究においてフェニルアラニン脱水素酵素を用いたフェニルアラニンの酵素的定量法の開発に成功し、フェニルケトン尿症のマススクリーニング法として、実用化され、我が国の新生児の約30%がこの方法による診断を受けている。また、上記、脱水素酵素を進化分子工学により改変し、メチオニン脱水素酵素を新たに開発し、酵素的定量法に応用する事に成功している。

本事業においては、これらの成果をさらに発展させ、多様なアミノ酸定量用酵素の開発を進めている。これまでに開発した定量用酵素を表1に示す。L-リジン定量用酵素としては、2006年に Gomezらによって初めて報告されたL-リジンε酸化酵素の優れた基質特異性に着目し、既存のL-リジンα酸化酵素と比較し、より正確な定量が可能であることを明らかにした(特願2009-191525)。 また、L-スレオニン脱水素酵素を富山県立大学の保存菌株からスクリーニングし、極めて特異性の高い酵素の収得に成功し、スレオニン定量についても選択性の高い方法の開発に成功している(特願2010-48193)。

また、タウリンについては、タウリンジオキシゲナーゼの反応によりタウリンから遊離する亜硫酸をイールマン試薬による発色法で検出することにより定量する方法の開発に成功した(特願 2010-47601)。
   この他、グリシン、ヒスチジン、セリン、トリプトファンについても、既存酵素の利用も含め検討を進めている。
 また、20種類のタンパク質構成アミノ酸を同一原理により定量する方法として、乳酸菌を用いた バイオアッセイ法とタンパク質生合成反応を利用した酵素法の開発を進めている。  また酵素チップ開発においても、フェニルアラニンセンサーの制作に成功している(特開2009- 69085)。本酵素チップは数㎕の微量サンプルでも簡便に測定することができ、現在実用化に向けた研究を進めている。
 また、バイオセンサチップなどの製造法についても特許出願を行っており(特願2010-083706)、 マルチセンサーについても開発中である。


事業化への展望
各種酵素開発や酵素チップの製造を行う富山県立大学発のベンチャー企業の設立が可能である。 また、参画機関のひとつである味の素株式会社は、これまでにメタボリックシンドロームなど各種疾患患者の臨床試験を行っており、一部の疾患の早期発見や病態のモニタリングにアミノ酸データが有効であることが示されている。これらの疾患は個別化健康管理で最も重要かつ大きな市場となる分野であり、アミノ酸の安価・簡便な測定を可能にする本研究成果の実用化には高い需要が見込まれる。

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一般財団法人 北陸産業活性化センター