文部科学省 地域イノベーション戦略支援プログラム 富山・石川地域
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ほくりく健康創造クラスター
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研究開発
ほくりく先導型研究開発の国際連携拠点形成【広域化プログラム】
天然薬物の遺伝子解析等に基づく標準化研究
研究代表 富山大学和漢医薬学総合研究所 資源開発研究部門 生薬資源科学分野 教授 小松 かつ子
U R L http://www.inm.u-toyama.ac.jp/pharmacognosy/index-j.html
伝統医薬データーベース  http://dentomed.u-toyama.ac.jp/
参画機関 富山大学(和漢医薬学総合研究所、大学院医学薬学研究部)、金沢大学、国立医薬品 食品衛生研究所、富山県薬事研究所、(独)医薬基盤研究所薬用植物資源研究センター
研究の目的
 伝統医学は西洋医学を相補する医学として承認されつつあり、世界的にその安全性と有効性に関するエビデンスが求められている。その一方で、伝統薬の一部はすでに健康食品として世界各地で使用されており、グローバルな視点での伝統薬すなわち天然薬物の科学的エビデンスに基づく標準化が求められている。そこで、専門分野を異にする研究者の協力を得ながら、伝統薬物の基原、成分、薬効に関する研究を行い、それらの結果をリレーショナルデータベースに構築し、これを基に国際標準を創出する。同時に、天然薬物の優良種を見出し栽培化へと繋げ、薬用資源枯渇に対応する。
研究開発内容
1)高齢化や食生活の欧米化により問題となっている認知症や生活習慣病を改善・治療できる可能性が高い生薬類を対象に資源植物及び生薬を収集する。
2)薬用資源植物の核18S rRNA遺伝子またはITS領域、及び葉緑体trnK遺伝子等における遺伝子多型を解析し、分類群を同定するまたは産地を推定するための分子マーカーを見出す。同時に分子系統樹を構築して、分類群間の系統関係を明らかにする。
3)分子マーカーに基づき生薬を同定するための簡便法を確立する(PCR-RFLP法、SNPs法、DNAマイクロアレイの作製等)。
4)抗認知症:ラット大脳皮質神経細胞を用いた神経突起伸展活性や神経細胞死抑制活性等を指標にして候補生薬の活性成分を明らかにする。
5)生活習慣病改善:血管作動性や動脈硬化進展抑制活性等を指標にして候補生薬の活性成分を明らかにする。(4と5の評価系の確立は研究分担者による。)
6)HPLC、GC、LC-MS/MS法等で各生薬の薬理活性成分を定量またはパターン分析し、基原種間の差異を明らかにすることにより優良種を決定する。
7)伝統薬統合データベースを開発し、遺伝子解析、成分分析、生物活性試験の結果を構築する。
8)富山県内または県外の数カ所に依頼栽培した植物株を随時抜き取り、薬理活性成分の含量変化を調べ、最適環境を明らかにする。最終的に付加価値の高いブランド生薬を作出する。
事業化への展望
 これまでに人参類生薬基原解析用DNAマイクロアレイを開発し、特許申請を行っている。今回対象とした生薬についても同様な方法でDNAマイクロアレイを作製し、生薬または健康食品のレギュレーションに役立てる。一方、研究分担者の協力を得ながら伝統薬統合データベースを構築しWeb公開する。このデータベースは、将来的に世界の伝統薬研究者の成果も登録できるように設計することにより天然薬物の国際標準化が推進でき、研究者によるプラットフォームが形成される。これを活用することにより、世界の伝統薬の有効性・安全性の確保、薬効に応じた効率的使用法の策定、栽培すべき薬用植物の選定、現代医療に貢献し得る新規な薬用価値の発見などが可能になり、伝統薬(天然薬物)の持続性を担保するとともに、創薬へと結びつける。
 富山県においても栽培可能な薬用植物を選定し、それらを使った新規配置薬または機能性食品の開発(認知症や生活習慣病の予防や治療を目的とする)へと結びつけ、地域ブランド和漢薬として製品化する。

天然薬物の遺伝子解析等に基づく標準化研究

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